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廃工場を改造して作った複合文化施設であるソンスヨンバン3階のルーフトップカフェ「チョンサンガオク」。一見、植物園にも見えるこのルーフトップカフェは、天井をガラスで仕上げ、その下に白い布を波状につけた。黄色い照明とあちこちに配置された熱帯植物で穏やかな雰囲気が漂う。暖かい日差しが仄かに入り、気だるい午後の休息を取るのに最適の空間で、角を曲がるとテラスのように壁にもたれてコーヒーを飲みながら談笑を交える場所が設けられている。天井が透明なガラスになっていて、すっきりした開放感を感じられるのもいい。チョンサンガオクのシグネチャーコーヒーはペッパーハニー。「ショコラクロワッサン」や「アールグレイスコーン」などとよく合う。ペッパーハニーは、文字通り胡椒をかけることで辛さが感じられるカフェラテで、魅力的な甘味で人気が高い。ここソンスヨンバンには、ソウルの地元の人が追求する健康でトレンディな過ごし方を学べる様々な空間がある。まず、1階の中央は「アートパビリオン」で、シーズン別に様々な展示会がある。1階と2階には餃子専門店の「チャンファダン」、そして「ブルワリー」「書店アークアンドブック」、ライフスタイル編集ショップの「ティングルストア」などが出店している。
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天気のいい日は、ハンガン(漢江)公園とハンガン(漢江)大橋を通じてノドゥルソムまでゆっくり歩いて見よう。ハンガン大橋の真ん中に広い砂浜で捨てられていた小さな島であるノドゥルソムが昨年、ソウル市立大学の都市工学科卒業生が結成した空間、クリエイティンググループ「アーバントランスフォーマー」によって生まれ変わった。最初に彼らは「音楽の島」というコンセプトで465席規模のライブハウスを建てて、様々なミュージシャンとアーティストを招待して公演を行った。現在、ノドゥルソム内にはライブハウス、リハーサルスタジオ、ノドゥルオフィス、発酵ラウンジバーのボクスンドガ(福順都家)、キュレーション書店のノドゥルソガ(書架)、ピクニック用品レンタルショップのピクニック商店などが出店している。常時プログラムやアーティストのライブ公演が行われていて、いつ訪れても面白い。レジャーシートと毛布を持って、ノドゥルソムの芝生広場で都心でのピクニックも楽しめる。都会生活の中で、恵みの雨のような休息になるだろう。
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飲み物と読書ができるカフェを探しに出た。空間が迷路のような建物の間を水が流れるように徘徊しているうちに「無目的」という看板を見つけた。1階は手工芸品やデザイン製品を扱うショップ、2階は写真スタジオ、3階はギャラリー、4階はカフェとなっている。広くて全面ガラス張りの窓の向こうにソチョンとイヌァンサンの景色が一望できる4階のカフェ、「デチュン(大蟲)遊園地」に入ってみた。2つの棟に分かれたビルは階段とテラスで繋がっている。所々塞がっている壁に出くわすと、その隣の小さなくぐり戸に入る。行き止まりに見えても出口が続く。カフェに入ると、代表のユン・ハンヨルさんが広いテーブルの向こうでコーヒーを入れている。「カフェの名である『デチュン(大蟲)』は、朝鮮時代に虎を意味する表現でした。イヌァンサン(仁王山)にピッタリの名で、1号店をソチョンにしたかったのですが、場所がなかったんですね。ヨンナムドン(延南洞)で1号店をやっていたのですが、ちょうどここのビルのオーナーから連絡をもらい、入居することにしました。東西南北を象徴する四つの獣(四神)の中で白虎は西を意味しますが、そのためかキョンボックン(景福宮)を西から護衛するように取り囲んだイヌァンサンにたくさんの虎がすんでいたそうです」1930年代以来、姿を消したイヌァンサンの虎からインスピレーションを受けて、店の名前を作ったというここでは他と違うエネルギーが感じられる。4階のルーフトップにはソチョンとイヌァンサンの景色がパノラマのように広がっている。曲がりくねった横町に数え切れないほどの人が出入りす
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ソウルの森が見える静かな3階建ての空間。青々とした緑の下で植物とゆっくり休んでいると「ここは本当にソウルなのかな」と思ってしまう。一人きりで十分に思索できるように作られた「グリーンラボ」の「私だけのためのソウルの森」はNAVER予約を通じた事前予約制で運営している。0.5階のフラワー空間でチェックインした後、3階に入場すると、ゆったりくつろぐことができる。入場の際にもらえるラタンバスケットには、茶菓・野花・紙・便箋・筆記用具・本などが入っている。静けさの中で自分を振り返りながら日記を書き、本を読みながら集中する時間を持つ。グレープフルーツビネガー、蓮の葉茶など、一緒に提供される飲み物からも自然の香りがたっぷり感じられる。別途にルーフトップを予約した場合は、もう一段上がって野外庭園を観賞しながら時間を過ごせる。からっとしたルーフトップからビルの森と緑の森を眺めながら都心の中のウェルネスを満喫できる。ほのかな木の香りと共に、美しい陶器製の湯呑みで飲む一杯のお茶の残り香が長く心に残る。少しでも呼吸を整えながら自分だけのために時間を過ごす経験は、皆さんの日常をより豊かにさせてくれる。
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「ピクニック(piknic)」は昔製薬会社の社屋だった建物を改装して、2018年に新しくオープンした複合文化施設である。各分野の専門家が参加し、空間の面々を探していく道のりが興味深い。ピクニックのように明るくて親しみやすい一方で、馴染みのない生硬な感覚を提示する場所である。音楽家の「坂本龍一」展を始め、ピクニックの企画展示は毎回話題になってきた。日常生活を喚起し、新しいインスピレーションを高める展示で人気を集めた。建物の前にあるガラス温室ではピクニックのブランドショップがあり、3階には「ミシュランガイド」1つ星のダイニング「ゼロコンプレックス」が野菜を栽培している。このようにピクニックを取り囲んでいる景色は、「ピクニック」の辞書的な意味を視覚化したように見える。ミニマルに改造された1970年代の建物はナムデムン(南大門)市場とナムサン(南山)の間という、都心の中に隠された丘の地形と混ざり合っている。裏門と繋がっているルーフトップラウンジには庭園を作り、サンベッドでのんびりとした雰囲気を出している。ピクニックからナムサン(南山)公園までは徒歩20分、Nソウルタワーまでは40分。軽い散歩も楽しめそうだ。ただし、展示空間のリニューアルのため、2021年の展示は4月から予定されている。
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ソウルとキョンギド(京畿道)のアニャンシ(安養)市、そしてクァチョン(果川)市にまたがっているクァナクサンで出来るのは散歩や登山だけではない。政府は、都心の中央に聳え立つクァナクサンの良い資源を有効活用するために「癒しの森」「野外植物園」「森の中の生態体験館」など、様々なプログラムを運営している。その中でも癒しの森は、森が人間に及ぼす影響や機能を体験できるように造成された所である。クァナクサンの入り口から小走りで20分ほど登り、ソンジュアム(聖住庵)方面に向かうとクァナクサン癒しセンターが見える。癒しの森はそこから始まる。森の道に沿って水療法の場、ソリギル(音の道)、瞑想空間など、多様な空間を造成してフィトンチッドと酸素マイナスイオンを名一杯楽しめる。まず、森の指導者とお茶を飲み、指導者が導く道を歩きながらたわいない話を交わしていると、いつの間にか瞑想空間にたどり着く。クァナクサン頂上の演奏台が見える瞑想空間で、山の精気をたっぷり吸いながら、指導者の案内通りしばらく瞑想する。2時間ほどの癒しの森プログラムは、通常、がん患者や感情労働者などを中心に運営されているが、家族連れや青少年を対象に開かれることもある。忙しい日常生活の中、そう遠くない場所でストレスを減らすいい機会なのだ。
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メボンサン(梅峰山)に囲まれた「文化備蓄基地」は、41年間一般人の接近と利用が徹底的に統制されていた産業化時代の遺産である石油備蓄基地が、都市再生を通じて生態文化公園として生まれ変わった所である。石油を保管していたタンクは文化空間に生まれ変わり、敷地内に残っていた樹林を最大限保存して多様な花と木を植えて公園として造成した。そのおかげでメボンサンと繋がっている遊歩道では、時々ノウサギとキタリスにも会えるらしい。インフォメーションセンターから音声ガイド(韓国語・英語・日本語・中国語対応)をレンタルすると詳しい説明を聞くことができ、文化備蓄基地を隅々まで観覧できる。文化備蓄基地の展示・公演・ワークショップなどの様々なイベントはホームページから確認できる。
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癒しを経験できるのは自然の森だけではない。東大門デザインプラザ(DDP)のデザインの森では天気に左右されず、室内で誰もがヒーリングを経験できる。リビングガーデンには常緑植物など、各種の植物があちこちに植えられており、ライブラリーには韓国の優秀な小説を各言語に翻訳した書籍が置かれている。人々はここに座って緑の植物を観賞しながら休んだり、静かに読書をしたりしながら平和な時間を過ごす。そしてDDPのデザインストアでは様々な韓国デザインの商品を販売しているため、ショッピングも楽しめる。メディアツリーは、DDPの主要イベントや様々な情報などを知らせ、旅行者をはじめとする訪問客をサポートしている。ここはまさに植物を媒介に様々なデザインを体験できる複合空間なのだ。今後、公演・展示・教育など、多彩なイベントも予定されていて、ここで自分だけのウェルネスをデザインするのも良さそうだ。